政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
彼の動きに合わせるように漏れる声はどうやっても抑えることが出来ない。
痛みに顔を歪めながら彼の背中に爪を立てた。
「い…った、い」
「ごめん、ゆっくりするから…」
“気持ちがいい”など嘘だと思った。挿入前ならば快楽でどうにかなりそうだったが今は違う。
苦痛で眉間に皺が深く刻まれる。
それなのに甘美な声が出るのは何故だろう。涙がぽろぽろ溢れるとそれを丁寧に楓君が舌で拭う。
「…ぁ、っ…は、」
「大丈夫?」
うん、と彼の腕の中で頷くと徐々に彼の動きが速まる。
ぐっと奥を突かれると弓なりに背を反らせ呼吸を途切れ途切れにさせながら助けを求めるように楓君の名前を呼んだ。
どうしてか、少しずつ痛みよりも違う感覚が全身を貫く。
日和、と私の名前を呼ぶ楓君に戸惑いも含めて伝える。
「き、っ…もちいっ…変だよ、私っ…ぁ、」
「変じゃない。そのまま感じて」
下半身がびくびくと痙攣する。我慢することも出来ないほどに、それは私のすべてを破壊する。
彼が上半身を起こすと、汗で顔に張り付く髪の毛を直す間も与えずに私の両手首を掴んだ。
そして先ほどとは比べ物にならないほどの動きにがくがくと総身を震わせ声を弾ませる。
バチン、と何かが弾けるように真っ白になり、がくんと力が抜ける。
楓君が覆いかぶさってきて何度もキスをするがそれを返す力もないほどの快感に唇を半開きにしたまま目を閉じた。