政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
―翌日
私は緊張感を保ったままキッチンに立っていた。
今日の朝食は前日から準備していた炊き込みご飯にお味噌汁、そして鮭にサラダだ。ボーっとしながらサラダ用のトマトを切りながら昨夜のことを思い出していた。
楓君の提案してきた内容を私は承諾したわけではない。
だけど、彼の妻として彼の提案を呑む必要はあるのかもしれない。
はぁ、と短い息を吐くと同時に彼の部屋のドアが開いた。
「おはよう。手は?大丈夫?」
「おはようご―…おはよ、う。大丈夫…」
楓君は眠たそうな眼を手で擦りながら私の脇を通り過ぎる。
敬語禁止というのを思い出した私は何とかキスを免れることが出来た。
楓君と一緒に朝食を食べようとダイニングテーブルの上にそれを並べていると顔を洗ってきた彼がこちらへ来る。
「楓君、今日は普通の朝食ですが、あ…」
「はい、敬語」
顔を合わせてすぐに敬語を使ってしまった私は口を開いたまま固まる。
しまった、と思った時には遅くて、すぐに楓君が私に一歩近づいた。やはり昨夜の会話は冗談ではないことを彼の目を見て確信した。
獣を狙うような眼光を向けられて眉尻を下げて彼を見上げる。
私は緊張感を保ったままキッチンに立っていた。
今日の朝食は前日から準備していた炊き込みご飯にお味噌汁、そして鮭にサラダだ。ボーっとしながらサラダ用のトマトを切りながら昨夜のことを思い出していた。
楓君の提案してきた内容を私は承諾したわけではない。
だけど、彼の妻として彼の提案を呑む必要はあるのかもしれない。
はぁ、と短い息を吐くと同時に彼の部屋のドアが開いた。
「おはよう。手は?大丈夫?」
「おはようご―…おはよ、う。大丈夫…」
楓君は眠たそうな眼を手で擦りながら私の脇を通り過ぎる。
敬語禁止というのを思い出した私は何とかキスを免れることが出来た。
楓君と一緒に朝食を食べようとダイニングテーブルの上にそれを並べていると顔を洗ってきた彼がこちらへ来る。
「楓君、今日は普通の朝食ですが、あ…」
「はい、敬語」
顔を合わせてすぐに敬語を使ってしまった私は口を開いたまま固まる。
しまった、と思った時には遅くて、すぐに楓君が私に一歩近づいた。やはり昨夜の会話は冗談ではないことを彼の目を見て確信した。
獣を狙うような眼光を向けられて眉尻を下げて彼を見上げる。