政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
それに朝に比べると体が楽になったのもあって、目を閉じながらいろいろなことを考えていた。
クリスマスはどうしようとか、もう少しで来る誕生日のこともだ。
楓君に自らの誕生日を伝えたことはなかった。しかし、出来ることならば…―。
”二人で過ごしたい”
そう思うことは欲張りだろうか。好きな人と過ごしたいのは、当たり前の感情だ。
と、ドアをノックする音で肩を震わせた。
「楓君…?」
「ごめん、寝てた?」
すっと空いたドアから楓君が顔を出す。
既に眠っていると思っていたから一瞬幽霊かと思い驚いたが楓君と知り安心した。
「ううん、具合もよくなってきて。でも…ずっと寝てたからあまり眠くなくて起きてたの」
「じゃあ、一緒に寝ていい?」
「…へ?」
「話したいことがあるんだ。大丈夫、何もしないから」
話したいこととは何だろう。
変な緊張感が漂いながらも私は黙って頷いた。
良く考えると私の部屋で一緒に寝ることは初めてだ。