政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
先ほどまで眠れなかったのに突如それが襲ってきたのは楓君の手があまりにも優しい動きをするからだ。
「クリスマスイブも出来るだけ早めに帰宅するから、一緒に過ごそう」
「…クリスマスも?」
「夫婦なんだから当たり前だろ」
「楓君はイベントとか嫌いなイメージなんだけど…無理してない?」
「あぁ、確かに好きじゃない」
好きではないとの言葉に瞼を上げる。私も彼と同様に体を向ける。
「でも日和となら好きだよ。一緒に過ごしたいと思う」
「…」
「本当だよ」
楓君の手のひらが私の頭から落ちていく。それは肩を通り、私の手を握った。
「私も、一緒に過ごしたい」
口元に弧を描き、更に強く手を握られる。
視界が狭まり気づくと眠りについていた。