政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
「あの!キスはやっぱり難しいです。そんなに簡単にするようなものではないと思うんです」
「うん。じゃあ代替案は?俺は距離を縮めたいと思ってる。その案を出したけど日和は嫌だってことでしょ?だったら代替案が欲しい」
「代替案…」
「そう」
意地悪く上がる唇に目がいく。ドキドキしすぎて私はそのうち気絶してしまうのではと思った。
一歩後ずさっても楓君がその分私に近づくから距離は変わらない。
「あ!ハグ!抱きしめるのはいかがでしょうか!」
「抱きしめる?」
「はい!それでお願いします!」
「…わかった」
お互いの妥協点は見つかった。しかし、ハグも同様に私にとって簡単に出来るものではない。キスよりはいいとしても緊張してどこを見ていいのかもわからないし、彼と目を合わせることもできない。