政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
日和は結婚当初から今までこうやって誘ってきたことは一度もない。
沖縄旅行の時だってそうだ。元はと言えば俺が抱きたいと言ったからそれに合わせる形で日程を彼女が決めただけで自発的にそういった発言はしない。
なのに…―。

「じゃあ、抱くよ。いいの?」
「うん、抱いてほしい…」

 泣きそうになりながら抱いてほしいなどというだろうか。
しかしそんなことを言われたら、どうやっても止められない。以前強く抱いてしまったせいで抱かれることに抵抗があるはずなのに、何故今そのような発言をしたのだろう。
 体勢を変えると、ぎしっとベッドの軋む音が響く。
彼女に覆いかぶさり、唇を貪る。

「…んんっ…」

 パジャマの中に手を侵入させ、きめの細かい肌に触れる。その度に日和の口から熱い息が漏れる。
びくびくと震える体を優しく触りながらキスを何度もする。

 胸の頂点を指で刺激すると彼女の下半身が段々と動いていくのがわかる。
十分に愛撫をして腕の中でぐったりした日和の頬に軽くキスをしてそれから腰に手を当てるとぐっと引き寄せた。

 彼女の中に入ると苦しそうに眉根を寄せ、苦悶の表情を浮かべるが全身を紅潮させ甘美な声を漏らす。

「か…えでくん…」

 口周りが唾液で光っていてそれが更に俺を煽る。
焦点の合わない目がゆっくりと閉じられていく。

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