政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
♢♢♢
「ええ?キスもまだ?何よそれ」
比較的値段設定の高い喫茶店にて小さな頃から一緒にいる親友の一宮舞衣子の大きな声が店内に響いた。私は咄嗟に人差し指を口元に当て、「しっ!」と静かにするように諭すが彼女は“お嬢様”とは似つかわしくない大きな口を開けてゲラゲラと笑っていた。彼女の親は世界的に有名な医薬品メーカーの社長であり超絶お金持ちの娘だ。それなのに気取ったところがない明るくていい子だ。
ロングヘアのパーマのかかった髪を手で背中側にサッと払い、赤みブラウンの口紅が塗られた綺麗な唇を上げる。
「仕方ないじゃない…だって結婚したばかりだし、好きで結婚したわけじゃないし」
「日和は好きでしょう?楓君のこと」
まるで語尾にハートがついているのでは、と思うほど可愛らしくそう言った彼女を小さく睨む。
「そうだけど…でも、相手は違うから…」
「わかんないじゃん。そのうち好きになってくれるかもよ?夜の方も頑張らないと男は他の女に行くかもしれないし」
「ええ!それはないよ。いくら楓君と政略結婚とはいえ…浮気はないと思うなぁ」
「どうしてそう思うの?」
「うーん。デメリットが上回るようなことはしない人だと思うの。不倫って結構デメリット多そうじゃない?」
「一般人はね。彼の場合御曹司だよ?金の力で何でも消せそうだけどなぁ。あんなイケメン、愛人の一人や二人、いそうだけど」
「…そう、なの…」
損得勘定で物事を判断する人だと思っていたから浮気もないと考えていた。
「ええ?キスもまだ?何よそれ」
比較的値段設定の高い喫茶店にて小さな頃から一緒にいる親友の一宮舞衣子の大きな声が店内に響いた。私は咄嗟に人差し指を口元に当て、「しっ!」と静かにするように諭すが彼女は“お嬢様”とは似つかわしくない大きな口を開けてゲラゲラと笑っていた。彼女の親は世界的に有名な医薬品メーカーの社長であり超絶お金持ちの娘だ。それなのに気取ったところがない明るくていい子だ。
ロングヘアのパーマのかかった髪を手で背中側にサッと払い、赤みブラウンの口紅が塗られた綺麗な唇を上げる。
「仕方ないじゃない…だって結婚したばかりだし、好きで結婚したわけじゃないし」
「日和は好きでしょう?楓君のこと」
まるで語尾にハートがついているのでは、と思うほど可愛らしくそう言った彼女を小さく睨む。
「そうだけど…でも、相手は違うから…」
「わかんないじゃん。そのうち好きになってくれるかもよ?夜の方も頑張らないと男は他の女に行くかもしれないし」
「ええ!それはないよ。いくら楓君と政略結婚とはいえ…浮気はないと思うなぁ」
「どうしてそう思うの?」
「うーん。デメリットが上回るようなことはしない人だと思うの。不倫って結構デメリット多そうじゃない?」
「一般人はね。彼の場合御曹司だよ?金の力で何でも消せそうだけどなぁ。あんなイケメン、愛人の一人や二人、いそうだけど」
「…そう、なの…」
損得勘定で物事を判断する人だと思っていたから浮気もないと考えていた。