政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
彼の働く会社ビルに到着すると、入り口前でビルを見上げた。
天を突きそうなほどに高いそれに感嘆の声が漏れる。
「こんなところで働いてるんだ…」
コートを羽織ってきたとはいえ、タクシー内との温度差に首を竦める。
速足で中に入るとすぐに受付が見えた。
「すみません!西園寺楓さんをお願いしたいのですが…私、西園寺日和といいます」
「副社長でしょうか?少々お待ちください」
可愛らしい受付の女性は一瞬顔色を曇らせたがすぐに笑顔に戻して電話を取る。ソワソワしていると、「少しお待ちください」と再度受付の女性に返される。
数分ほどすると、見覚えのある人がこちらへ向かってくるのがわかった。
「あれ…」
カツカツとヒールを鳴らして、歩いてきたのは秘書の清川さんだった。てっきり楓君が来ると思っていた私は全身に緊張感を走らせた。
「こんにちは。わざわざありがとうございました」
「あ、いえ…こちらです」
隙のない笑みを浮かべ、顔周りの髪をそっと片手で触れるその仕草も妖艶だった。
天を突きそうなほどに高いそれに感嘆の声が漏れる。
「こんなところで働いてるんだ…」
コートを羽織ってきたとはいえ、タクシー内との温度差に首を竦める。
速足で中に入るとすぐに受付が見えた。
「すみません!西園寺楓さんをお願いしたいのですが…私、西園寺日和といいます」
「副社長でしょうか?少々お待ちください」
可愛らしい受付の女性は一瞬顔色を曇らせたがすぐに笑顔に戻して電話を取る。ソワソワしていると、「少しお待ちください」と再度受付の女性に返される。
数分ほどすると、見覚えのある人がこちらへ向かってくるのがわかった。
「あれ…」
カツカツとヒールを鳴らして、歩いてきたのは秘書の清川さんだった。てっきり楓君が来ると思っていた私は全身に緊張感を走らせた。
「こんにちは。わざわざありがとうございました」
「あ、いえ…こちらです」
隙のない笑みを浮かべ、顔周りの髪をそっと片手で触れるその仕草も妖艶だった。