エリート官僚は授かり妻を過保護に愛でる~お見合い夫婦の片恋蜜月~
こんなに格好いい人に話しかけられて、答える言葉もしどろもどろになってしまう。
兄が同席していなくて本当によかった。きっとからかわれまくって、私は怒りだしたに違いなく、そうしたらこの人は変な目で見るだろう。
私はこの時点ですでにお見合い相手に嫌われたくないと思い始めていた。

お見合いは順調に終了。好い印象を与えられたのではないだろうかと満足で帰りつつ、思った。
もしかしたら、彼はお付き合いの延長で仕方なくお見合いに挑んだだけかもしれない。なにしろ、政治家のお嬢さんを紹介されたという状況だ。会いもせずに断ることができないから、仕方なくお見合いに応じたということも考えられる。
しかも私と結婚しても、兄が父の地盤を継ぐ以上、跡継ぎとして政治家の道を志せるわけでもない。私と結婚する旨味は、あまりないはず。

あれだけ格好いい人だ。他に恋人がいても仕方ないし、あまり期待しない方がいいかも。
なかば諦め気味な思考に陥っていた翌日、早速父の下へ返事がきた。

「芽衣子、日永くんはおまえさえよければお付き合いをしたいと言っているぞ。どうだ?」

これには驚いた。あの素敵な男性が? 本当に私でいいのかしら?
驚きのままに私は駿太郎さんと再会し、正式に交際がスタート。交際とほぼ同時に挙式の計画も立ち、あれよあれよという間に半年でゴールインと相成ったのだった。


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