エリート官僚は授かり妻を過保護に愛でる～お見合い夫婦の片恋蜜月～

この宮間万美という女性の名前を、私は以前も目にしたことがある。
……まだ、メッセージが来るなんて。

私は駿太郎さんとこの女性がどんな関係にあるか知らない。駿太郎さんが彼女にどんなメッセージを返すのかも知らない。結婚したあとも頻繁にメッセージがくる理由も……。

私はかぶりを振って、頭から余分な考えを追い出す。
やめよう、気にすることじゃない。きっと同僚や、大学時代の友人だろう。仕事や、仲間内の連絡で彼にメッセージを送っているに違いない。
私は包丁を動かし、食事の仕度を再開する。

「芽衣子、夕飯は何？」

気づけば、駿太郎さんが隣にいて、私の手元を覗き込んでいた。

「えっと、お肉を炒めようかと……、わわっ」

無心で包丁を動かしていたら、付け合わせのキャベツの千切りを大量に切っていた。とうのお肉は下味すらつけていない。駿太郎さんがふ、とかすかに微笑み、言う。

「キャベツ、好きだから大丈夫だよ」
「でも、こんなに……。食べきれない分はコールスローにして、明日食べましょうね」
「ああ、芽衣子は機転が利くね」

呆れられていないかしら。私はそわそわしながら、キャベツをお皿に移した。
たっぷりのキャベツとお肉。ほうれん草のお浸しとわかめのお味噌汁。簡単な内容なのに、美味しい美味しいと駿太郎さんはたくさん食べてくれた。