エリート官僚は授かり妻を過保護に愛でる~お見合い夫婦の片恋蜜月~
食後、お風呂に入ったり、音楽を聞いたり。なんとなくテレビをつけたりして、のんびり過ごす。メガネをかけて読書をする駿太郎さんは穏やかで、リラックスしているように見える。
それと同時に、私は彼のことがわからないと感じることがある。

感情の起伏が少ないせいか、大きな声で笑ったところも、誰かに対し怒りを露わにしたところも見たことがない。私といて退屈ではないだろうか。私が駿太郎さんといて楽しく感じるほど、彼はこの生活を楽しんでいない気がしてしまう。

それにあのスマホのメッセージ。私がお風呂に入っている間に返信したのかな。
そんなことも聞けないのは、私と彼がまだ気持ちの通じ合った夫婦じゃないからかもしれない。

お見合いで結婚した夫婦だもの。恋愛結婚のカップルと比べたら、心の交流は少ないだろう。交際だって半年で結婚してしまった。交際期間中は月に二、三度、食事や結婚式の打ち合わせで会っていた程度。まだまだ愛情と呼べる感情はお互いに育っていないと思う。

だからこそ、できたら言葉にしてほしい。一緒にいて楽しいとか、実はこんなメニューは苦手だとか、些細なことでいいから。
それとも、そんなことを望むのは私の我儘なのかな。

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