エリート官僚は授かり妻を過保護に愛でる~お見合い夫婦の片恋蜜月~
深呼吸をして使用して、結果が出るまでトイレの中で立ち尽くして待った。すると、そこには陽性の印が浮かび上がってきた。

私は声にならない声をあげ、感動でトイレの床に座り込んだ。それからまだぺったんこのお腹をぺたぺた触る。
私のお腹に赤ちゃんがいる。駿太郎さんの赤ちゃんが宿っている。
嬉しくて嬉しくてたまらなくて、気づけば涙まで溢れてきた。

駿太郎さんはきっと喜んでくれるだろう。あの優しい人だもの。私を抱き締めて、「嬉しいよ」ってささやいてくれるに違いない。もしかしたら、これであの疑惑の残る女性とも縁を切ってくれるかもしれない。

もし、彼に結婚前から続いている恋人がいたとしても、妻に子どもまでできたら考えを改めるのではないだろうか。
彼が私の元へ来てくれるのなら、私は過去なんて気にしない。気づかなかったフリを生涯続ける。そうすれば、私たち夫婦はすべて丸く収まるはずだ。

いてもたってもいられないそわそわした心地で、夕食を作り始めようとしたときだ。玄関が開く音がした。

「駿太郎さん!」

私は思わず、玄関まで飛んでいってお迎えをしてしまった。駿太郎さんが少し驚いたように眉をあげる。

「ただいま、どうしたの? すごく元気だね」
「あ、あのね、私、さっき!」
「さっき?」
「検査薬で試して……それで」
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