エリート官僚は授かり妻を過保護に愛でる~お見合い夫婦の片恋蜜月~
円山先生が環境委員会に所属していた縁で繋がりができ、俺の仕事ぶりを気に入ったらしかった。
俺としては普段通り、補佐業務や事務方の地味な作業をしていただけなので、大方、鉄二が下駄を履かせた人物評をつけたのだろう。彼は口が上手く社交的で、俺とは正反対の人間なので、在学中は挨拶をする程度しか関わりがなかった。どうして、俺を妹の伴侶に推挙したのかわからない。
ともかく、円山先生がぜひにと言うので、渋々お見合いを受けることになった。
事前に見合い写真などはなく、鉄二からメッセージアプリに彼女のスナップ写真が送られてきただけだった。
愛らしい顔立ちは鉄二にも似ている。鉄二は端整な容貌をしているし、想像すれば妹の顔形が整っていることは理解できた。
しかし、どうにも画質が悪くぼやけていてはっきり見えない。こんな写真しかないのだろうか。もっと顔がよく見える写真を送り直してもらいたいものだと思いながら、そんなことを彼には言えなかった。言えば見合いに大乗り気に見えてしまうだろう。
妻も子どももいずれできたら嬉しいが、自分から望むほど家族という枠組みに希望を持っていない。
さらには、お相手が政治家のお嬢さんとなると政治的なしがらみができそうだ。
できたら、穏便にお断りしようと思い見合い会場に向かった。
「初めまして、芽衣子と申します」
白地に蝶の柄の振袖を着た円山芽衣子は可憐な女性だった。
俺より四つ年下、今年二十五になるという。
俺としては普段通り、補佐業務や事務方の地味な作業をしていただけなので、大方、鉄二が下駄を履かせた人物評をつけたのだろう。彼は口が上手く社交的で、俺とは正反対の人間なので、在学中は挨拶をする程度しか関わりがなかった。どうして、俺を妹の伴侶に推挙したのかわからない。
ともかく、円山先生がぜひにと言うので、渋々お見合いを受けることになった。
事前に見合い写真などはなく、鉄二からメッセージアプリに彼女のスナップ写真が送られてきただけだった。
愛らしい顔立ちは鉄二にも似ている。鉄二は端整な容貌をしているし、想像すれば妹の顔形が整っていることは理解できた。
しかし、どうにも画質が悪くぼやけていてはっきり見えない。こんな写真しかないのだろうか。もっと顔がよく見える写真を送り直してもらいたいものだと思いながら、そんなことを彼には言えなかった。言えば見合いに大乗り気に見えてしまうだろう。
妻も子どももいずれできたら嬉しいが、自分から望むほど家族という枠組みに希望を持っていない。
さらには、お相手が政治家のお嬢さんとなると政治的なしがらみができそうだ。
できたら、穏便にお断りしようと思い見合い会場に向かった。
「初めまして、芽衣子と申します」
白地に蝶の柄の振袖を着た円山芽衣子は可憐な女性だった。
俺より四つ年下、今年二十五になるという。