エリート官僚は授かり妻を過保護に愛でる～お見合い夫婦の片恋蜜月～

それに……昨晩吐き気で眠れなかったとき、ちょうど駿太郎さんのスマホがメッセージを受信して光るのを見てしまった。
『宮間万美』あの名前……。それを見て、気持ちが沈んでしまった。

駿太郎さんに大事にされている感覚はある。好きだとも言ってもらえた。だけど、イコールあの女性と別れたとは判断できない。だから、名前を見たときの落胆と絶望は深かった。

いっそ問いただしてしまいたい。
この女性は誰？　駿太郎さんにとってどんな存在なの？　しょっちゅう時間を問わずに連絡してくるなんて、どれだけ近い女性なの？
私はどうするの？　お腹の赤ちゃんはどうするの？　あなたはその女性との関係を続けたまま、父親になるの？

人に怒り慣れていないから、きっと涙が出てしまってうまく言えないだろう。そして、私に問い詰められた駿太郎さんがどんな反応をするかと思ったら胸が苦しい。

「今日は家でゆっくりしようと思います。事務所に連絡を入れなくちゃ」
「まだ、鉄二と円山先生は知らないんだろう？　きみが気兼ねなく休みを取れるように、俺からふたりに報告しようか？」

優しい言葉に、どんな反応をしていいかわからない。私は苦笑して答えた。

「大丈夫。もう少し身体が落ち着いてから言いたいの」