エリート官僚は授かり妻を過保護に愛でる~お見合い夫婦の片恋蜜月~
「そもそも芽衣子の夫の日永は、優秀な男ですから。芽衣子が無理して働く必要もないんですよ」
せっかく墨田さんのおかげで緩んだ空気を、またしても兄が嫌な雰囲気にする。
「その考え方、古いと思うわ、兄さん」
私がまたイラッとしたのを見て取ったのか、墨田さんが慌てて中和してくれる。
「環境省のエリートですってねえ。二十九歳で課長なんて、出世が早いんでしょう。将来安泰だと円
山先生もお考えになったんでしょうね」
「父が所属の環境委員会で日永の仕事っぷりに惚れこんだようです。俺も、彼とは大学の同期ですしね。芽衣子、俺の口添えでいい縁談がまとまったんだから感謝しろよ」
どうもこれが言いたかったらしい。兄は悪い人ではないけれど、昔から外面がいい分、結構な内弁慶。私には特にマウントを取ってくる。考え方もどこか旧世代的で、『女は一歩下がって男についてこい』というもの。
私の旦那様は、もっと革新的で現代の夫婦の働き方にマッチした考えを持っているんだから。家事は分業だし、働き方も自由でいいって言ってくれている。本当に良い旦那様なのだ。
でも、ただの同級生だった兄に、駿太郎さんのいいところを知ってもらわなくてもいい。だから、私はこれ以上兄にマウントをとられないうちに先手を打って言った。
「本当に、兄さんのおかげで幸せな結婚ができたわ。感謝しても、し足りない」
墨田さんがいつもの兄妹のやりとりに苦笑いをしていた。
せっかく墨田さんのおかげで緩んだ空気を、またしても兄が嫌な雰囲気にする。
「その考え方、古いと思うわ、兄さん」
私がまたイラッとしたのを見て取ったのか、墨田さんが慌てて中和してくれる。
「環境省のエリートですってねえ。二十九歳で課長なんて、出世が早いんでしょう。将来安泰だと円
山先生もお考えになったんでしょうね」
「父が所属の環境委員会で日永の仕事っぷりに惚れこんだようです。俺も、彼とは大学の同期ですしね。芽衣子、俺の口添えでいい縁談がまとまったんだから感謝しろよ」
どうもこれが言いたかったらしい。兄は悪い人ではないけれど、昔から外面がいい分、結構な内弁慶。私には特にマウントを取ってくる。考え方もどこか旧世代的で、『女は一歩下がって男についてこい』というもの。
私の旦那様は、もっと革新的で現代の夫婦の働き方にマッチした考えを持っているんだから。家事は分業だし、働き方も自由でいいって言ってくれている。本当に良い旦那様なのだ。
でも、ただの同級生だった兄に、駿太郎さんのいいところを知ってもらわなくてもいい。だから、私はこれ以上兄にマウントをとられないうちに先手を打って言った。
「本当に、兄さんのおかげで幸せな結婚ができたわ。感謝しても、し足りない」
墨田さんがいつもの兄妹のやりとりに苦笑いをしていた。