エリート官僚は授かり妻を過保護に愛でる~お見合い夫婦の片恋蜜月~
エピローグ
私が可愛い息子・暖人(はると)を産んだのは十月の終わりだった。
痛みに耐え、小さな命と出会えたときは、私も駿太郎さんも感動で泣いてしまった。健やかに産まれてくれたことも、大きな泣き声もみんな嬉しかった。
私と駿太郎さんは、すぐに育児にかかりきりの日々になった。
予定日ぴったりでも少し小柄だった暖人は、おっぱいを飲ませてもあまりたくさん飲まないうちに眠ってしまう。お腹が空いてしょっちゅう目が覚めるので、私はまとまった睡眠時間が取れない。
そんなときは駿太郎さんがヒーローみたいに助けてくれた。
あやしてくれたり、寝かしつけを代わってくれたりと頼もしい姿に、私はますます惚れ直してしまう。
私たち夫婦と息子、三人家族になって最初の三ヶ月はこうして慌ただしく過ぎていった。
「さて、今日はいい調子」
私は夕食を作り終えて、満足の心地だった。昨晩暖人はあまり寝てくれなかったせいか、今日の日中はたくさん眠っていた。起こさないとおっぱいも飲まないくらいの爆睡。
これはチャンス。
私はフローリングワイパーで音を立てないように掃除を済ませ、少しだけゆっくりとテレビを眺め、買い置きの材料で夕食を作ることができた。