エリート官僚は授かり妻を過保護に愛でる~お見合い夫婦の片恋蜜月~
お見合いには行かなければならないし、断るときもよほどの理由をつけないと厳しそうだ。
そんなことを思いつつ、その男性のお見合い写真を受け取った。それは格式ばった台紙付きの写真ではなく、L版の普通のスナップだ。省庁内の何か集りの時に、記録として取った写真のようだった。

「え、本当に格好いい……」

思わず漏れた声に、一緒に覗き込んでいた兄がうんうんと頷いた。

「そう言っただろ。ちなみに背も高いぞ。性格もいいっちゃいい。俺から見たら真面目すぎるヤツって印象だけど」

なにげない表情をしているのに、目鼻立ちが整っているのが見て取れた。顔が小さくて、メガネが似合う。手足がすらりと長いのがわかる。こんなに素敵な人とお見合い?

「目の保養になるから会うだけ会ってみれば?」


兄にそそのかされたせいか、思ったより乗り気で赴いたお見合い会場。振袖姿の私は、そこで出会ったお相手・日永駿太郎さんに目を奪われた。
実物はもっともっと格好いい。
今日はメガネをしていないし、黒い髪もいかにもなオールバックではなくナチュラルにあげられている。スーツ姿は細身で、スタイルがいい。立ち居振る舞いが落ち着いていて、所作が綺麗だ。そして顔立ちがとても整っていた。

「芽衣子さんは円山先生の事務所をお手伝いされているそうですね」

私の名前を呼ぶ声も涼やか。恋愛経験のない私は、舞い上がってしまった。
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