婚約破棄をお願いしたら、年下御曹司様の溺愛から逃げられません!
「な、何を言っているんだ!? そんなこと許されるわけないだろう」
「……っ私は、この婚約嫌だったの! だからっ」
「いい加減に――」
お父さんが私に怒鳴り、殴られると思った瞬間頭の上でパチンと音がして上を見上げた。
「光島社長、2人だけで話をさせてくださいませんか」
「えっ、いや、しかし……」
「今まで好かれる努力をしなかった僕の責任でもあります。お願いです、話す時間をください」
豊浜さんはそう言うと父は引き下がる。
「分かった、圭吾くん。よろしく頼むよ」
「はい」
彼は私の手首を掴むと、ここから少し離れた庭へと案内した。
「……夏帆さん」
一度目を逸らした彼はすぐに私の目を見て私の名を呼んだ――あの日のように。