婚約破棄をお願いしたら、年下御曹司様の溺愛から逃げられません!
「圭吾、だよね?」
「……っ、夏帆、さん……っ」
顔を上げて私を見上げた彼は、やはり圭吾だった。
「体調悪いの?」
「……少し、だけ」
少しだけって感じじゃないよね……と思い、彼の額に手を当てた。
「……熱っ」
手に伝わる熱はとても熱かった。
「家、帰るよ。一人暮らししてるんだよね? 家、どこ?」
「大丈夫です……一人で帰れるので」
「座ってるだけで辛そうなのにこんなんで帰れる訳ないでしょ!」
私は無理に立ち上がろうとする彼を無理矢理ベンチに座らせて「ここで待ってなさい!」と強めの口調で言うと自販機で水とスポーツドリンクを買いベンチに戻った。