婚約破棄をお願いしたら、年下御曹司様の溺愛から逃げられません!


 ***


「夏帆さん、大丈夫ですか」

「えっ、あ……はい」


 今日、私は圭吾とのお出かけの日だ。


「どうしたの? 体調でも悪い?」

「違うくて……なんか可愛いな、と」


 うわっ……本人に何言ってんだ、私は。


「あ、このケーキ可愛いですよね。ここ同級生から教えてもらったんです」

「そうなんだ」


 圭吾が鈍くてよかった……と言うか、ケーキ可愛くて助かった。



「そうだ、夏帆さん。俺――」


 圭吾が何かを言いかけたその時「あっ、圭吾!」と可愛い声が聞こえてきた。


「……っ井本(いもと)さん!?」


 可愛い子……すごくキャピキャピしてる。

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