婚約破棄をお願いしたら、年下御曹司様の溺愛から逃げられません!



「も〜いつもみたいに花奏(かな)って呼んでよ」

「いつも苗字呼びしてるだろ」

「やだなー! あ、もしかしてお姉さんですか? 私、圭吾と付き合ってます。井本花奏ですっ」


 ……え? 付き合ってる?
 もしかして、婚約してること知らないの? ていうか、言ってないのかしら。


「……圭吾、浮気してたの?」

「違います!」

「じゃあ、これはなんなの? 私には好きとか言っておいて、意識しちゃってる私が馬鹿みたいじゃん」

「え……」


 なんか本当に馬鹿みたい。


「箱入り娘だからってバレないって思ってた? 婚約破棄したくないのは社長になりたいから?」

「違っ」

「私、もう帰る」


 もう、馬鹿馬鹿しい。嫌だな、年下に翻弄されちゃって……。



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