婚約破棄をお願いしたら、年下御曹司様の溺愛から逃げられません!
婚約破棄、作戦
「――本当にそれ、やるの?」
「うん、当たり前でしょう。だって私、ずっと嫌だったんだもん」
私、光島 夏帆。ブライダル会社を経営している社長の一人娘で、今はそのブライダル会社の秘書課で働いている。
「それは知ってるわよ。大学時代から言っていたもんね……でも、ちゃんと向き合ってないのもどうかと思うわよ」
そう言って紅茶を飲むのは友人の霧島ミル。この子は大学時代からの友人で、政治家の霧島 英治の娘だ。
「だ、だって。私の理想は、年上の包容力がある男性なの!」
「……まぁまぁ、落ち着いて。夏帆もミルも」
湯気が立っているトマトパスタを持ってきたのは、ミルの婚約者で私にとって友人の柄本 冬紀。料理が趣味な彼は、いつも私たちに美味しい料理を振る舞ってくれる。