もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい

✩✩旭SIDE①


紬がマンションへと
帰って来てくれて
本当に嬉しかった。

紬のご両親が
馬鹿な俺にもう一度だけ
チャンスをくれたのかも······と。

母親が簡単に掃除は
してくれていた。

紬が実家にいる間に

まさか、紬と一緒にマンションへ
帰るとは思っていなかったみたいだが

あまりにも俺の身なりが
情けなかったようだ。

でも、紬と一緒に戻り
紬がいるだけで部屋の中の全てが
違って見える。

どの部屋も綺麗になる。

痩せてしまった俺に
きちんと食事をさせてくれて
ワイシャツやスラックスにも 
キチンとアイロンがかけられ
靴下とハンカチはセットされて
社内の人達も
ほっとした顔をする人や
奥さん、元気になって良かったですね
と、言ってくれる人もいた。

紬の両親の通夜や葬儀に
来てくれた人達も沢山いたから。

alkuの仕事も楽しんでいるようで
近頃、良く買い物に来てくれる
お客様がいると
綺麗な人で性格も良いの
と、絶賛していた。

俺からしたら 
紬より綺麗な人はいない。

お子さんもいて
その、お子さんが可愛いの
と、嬉しそうに、少し寂しそうに
話す紬を俺は抱きしめた。

お互いに何も言わない。
俺も紬がいれば良い。
それだけで良い、と思っていた。
本当に·····心から······


だが、
放置したままで良いはずはなかった。
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