もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい
16章 各々
✮✮茜SIDE
書類が送られてきた。
弁護士の名前が書かれたものだ。
葵への支払う金額と
二度と関わらないと言う書面だ。
私は、それを和美さんに見せ
金額としては、妥当ではないかと
二人で話しはしたが。
一度、こちら側の弁護士さんに
相談する事になり
和美さんが連絡をとってくれた。
弁護士さんも金額としては
妥当ではないかと。
旭の会社や年齢を考慮して。
「ただ、これを受け入れると
葵君の父親は、戸籍上
存在しません。
そして、二度と葵君は、
父親である太田さんに
会うことは出来ません。
それで、宜しいですか?」
と、言われて
和美さんが
「少し考えてみたら?
それにあちらのお母さんは、
孫が欲しいのでしょ?
それなら、話してみては。」
と、言われた。
それを含めて考えて見ることにした。
弁護士さんも
「焦ると良くないです。」
と、言ってくれたから。
旭も私からの連絡ない間は
動けないみたいだから。
私は、週末に
旭の実家に伺った。
不在ならそれで良いと思い。
「初めまして。」
と、言う私に
少し怪訝な顔をしながら
「もしかして、佐川さん?」
と、訊ねる旭のお母さんに
「はい。」
と、答えながら頭を下げる。
「そう。お上がりになって。」
と、言われて
「お邪魔します。」
と、言い
旭のお母さんについて行く
リビングに通され
ソファーに腰掛けるように言われ
座るとお母さんはキッチンの方に
いかれた。
ここが旭か生まれた家なんだと
考えていると
お茶をだされてお礼を言う。
「それで、私に何か?」
と、言われて
私は、今までの事を話した。
弁護士さんに相談した事も含めて。
私が話す間
お母さんは、黙って聞いてくれていた。
「旭からあの時
お母さんも孫を望まれていると
聞きました。
それなのに
私と旭の考えだけで
葵を二度と合わせない事に
して良いのか悩みまして。
葵自身にも。」と。
「私が軽率に発言した言葉が
紬さんを傷つけ
旭や貴女を巻き込んで
しまって、ごめんなさい。
だけど私は、紬さんとの子供を
望んでいるの。
貴女と旭の子供については
考えられないの。
だから、二人の事は、
二人で決めて下さい。
私は、これ以上
紬さんを傷つけたくないだけ。」
と、言われた。
「ただ、貴女が今日
お子さんを連れて来なかった事に
驚きました。
子供を見せて情で訴えるなら
家にあげるつもりもなかったから。」
「私は、旭となら
この先、やっていけると思います。
ですが、葵をそんな事に使うために
産んだわけではありません。」
と、言ってから
旭の家を後にした。
結局、なにも決まらず·····
前にも進まず·······