もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい
それからも二人で色んな話をした。
紬のお店の場所や
売り物、顧客層
それに紬が結婚していること。
やはり·····と思う俺と
なぜ?·····と思う俺がいた。
紬は、俺の会社の話も
ききたがっていたから話もした。
俺は、独身だ。
恋人もいたが
長く続かなかった。
俺が、紬と比べてしまうからだ
と、言うことはわかっていた。
「それで、紬。
秋元じゃないし。
新たな名字で呼びたくないから
紬と呼ぶぞ。
で、紬は今幸せか?
今回は、買い付けか何かなのか?」
と、訊ねた。
幸せなら、本当に
もう、いいかげん
紬を忘れないと
って、俺は思っていた。
だが······
紬が黙ってしまったので
どうしたのかと思って
「つむぎ?」
と、言うが
紬は首を横にふり
「さあ、帰ろっか?
久しぶりに相馬君にあえて
その上に懐かしい場所で
美味しい料理を食べれて
嬉しかった。」
と、言うと紬は席を立ち
レジに向かうから
俺が、支払うつもりだから
慌てて後を追って
支払いをすると
「もう!
自分の分は払うつもりだったのに。
でも、ごちそうさま。
ありがとう。」
と、紬が言う····
本当に、全く変わってない。
紬は、昔からこうだ。
俺だけに負担にならにいように
デートの時は割り勘。
二人とも会社を持つ
店を持つことが夢だから
無駄遣いはしないようにと。
「かわんないな、紬は。
いつまで、こっちにいる?」
「そうかな。
変わったよ、きっと。
日本へ帰るのは三ヶ月後だよ。」
と、言う紬に
「また、連絡しても良いか?」
と、訊ねると
「相馬君が忙しくない時にね。」
と、言うから
「わかった。」
と、言って紬が宿泊している
ホテルまで送った。
紬、お前、幸せじゃないのか?
それなら、俺はもう遠慮しないぞ。
一度は、手放したけど
二度は······しない。