もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい

それからは、遠慮することなく
時間が許す限り紬と会った。

色んな品物を見に行ったり
食事をしたり
飲みに出かけたり
休みの日は、遠出をしたり
紬との時間を楽しんだ。

あっと言う間に
紬が日本へと帰国する日が
やってきた。

紬は、
今日本が、どのようになっているのか
全く知らない。

だけど、帰りたくなかった。

それは、今の現状が宙ぶらりん
だと言うこともあるが······
わかっている
伊織と過ごした日が
あまりにも楽しくて
同じものに興味を持ち
同じ考えで意見も言いあえる。
だからと言って喧嘩にもならない
伊織が私を大切に想ってくれているのが
わかるし、私も同じであるから。

翌日帰国する日に
「相馬君。ううん、伊織
今から話すことは
私の独り言だから。
黙ってきいてくれる?」
と、言うと
伊織は、私の顔見て頷いてくれた。

私も伊織に頷いて
まっすぐ前を向いて話した。

・舅が亡くなってから姑からの言葉
・夫の同窓会参加での浮気
・両親が亡くなり姑と夫に助けらた事
・浮気相手が店に来て部屋の真似事を
 されたこと
・夫と浮気相手の間に子供がいる事
・2度目の離婚の話がでているが
 話が進まずに、結月が日本を出して
 くれた事までを
伊織は、話しが終わると
私を抱きしめ

「バカっ。
俺は、そんな思いをさせるために
お前と紬と別れたんじゃないぞ。
どうして?どうして幸せじゃないんだ。
くそっ!!」
「ごめんね。ごめんね。伊織。」
と、謝る私に
「もう、帰るな。
ここにいろ。俺が守るから。」
と、言ってくれる伊織に
できることなら、そうしたい
でも、出来ない。

私は、首を横に振りながら
「聞いてくれてありがとう。
これで、もう少し頑張れる。」
と、言うと
「いつでも、連絡しろ。
わかったな。離婚決まっても
連絡しろ。
それと黒田に俺の連絡先を
教えておいて。
紬に何かあったら黒田から
連絡もらえるように。
あんな思いは、二度としたくない。」
と、言う伊織に
「うん。ありがとう。
結月は、いま、高橋だよ。
凄く優しい旦那さんなんだよ。」
と、言うと
「お前な。黒田のことを
誉めてるめてる場合じゃないぞ。」
と、言いながら
私の事をとても心配してくれて
ホテルへ戻っても
大丈夫かと心配する伊織に
笑ってしまった。

笑った私に少しだけ
ホッとした顔をする伊織に
「私の事より仕事頑張ってね。」
と、言うと
「どちらも頑張る。」
と、言うから
また、笑ってしまった。
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