もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい
高橋弁護士さんの事務所を出て
私達三人は無言だった。
黙ったまま
私と茜さんは、タクシーに乗り
旭は、一人で歩いて行くが
私と茜さんは、旭に声をかける事は
なかった。
タクシーの中で
茜さんは、
「こんな事言える立場では
ありませんが、
私は一度、私が相談しています
弁護士の先生に
今日の書類を見て頂きます。」
と、言った。
旭のお母さんは、
「茜さんの思うようにして。」
と、言ってくれた。
葵を和美さんに預けていたので
茜は、和美の家へと行き
葵を連れて自分のマンションへと
帰った。
心配する和美に
明日、弁護士の先生に相談してみる
事を伝えた。
葵は、和美さんのお子さん達に
遊んでもらって楽しかったようだ。
里子は、自宅に入ると
夫の仏壇の前で泣き崩れた。
旭や茜の前では泣けなかった。
自分勝手な思いの言葉や
行動に紬をどれだけ巻き込んで
しまったのかと。
謝って済むことでは
決してない。
秋元のご両親も
さぞかし心配しているだろう。
もう、旭達に関わらずに
あの子達が
自分達で決めるだろう。
だが、紬の為に
旭に離婚届を書くように
メールを送る。
それから、翌日に
高橋弁護士へ送金を済ませた。
ほんの少しでも早くすることが
紬に対しての誠意だと思って。