もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい

ガチャ、とドアが開き

【どういう事なんだ、カルロス?
   直ぐに来ないと······
と、ドアを開けながら入って来たのは
いおり?········

頭はボサボサ?
無精髭?
起きたばかりなのか
     ヨレタ上着?
そして少し臭い、アルコール?

あ然としている私

カルロスさんは、手で伊織に喋るなの
仕草で静止させ
その指先を私に向けた

伊織は、憮然としながら
カルロスさんの指先を辿ると······
私を捉えて
目を大きく開き····つ···む····ぎ····
と、口が動いた。

【伊織?】
と、名を呼ぶと
悲しみと不安と怒りを顕にした顔で
【何をしている?】
と、言った。

するとカルロスさんが
【おい、おい、そんな言い方ないだろ?
日本からせっかく来てくれたのに。】
【俺は、頼んでない。
俺を哀れに思ったのか?
見ての通りだよ。
戻って仕事をしてる。】
【うそ言え、仕事なんかしてないだろ?】
と、言うカルロスさんを睨む伊織に
【カルロスさんは、何も悪くない。
カルロスさん、
急に来てすみませんでした。
伊織もごめんなさい。
あなたに伝えたい事があったのだけど
お仕事の邪魔してすみません。
入院中、本当にありがとうございました。
それでは。】
と、言って会議室を後にした。

エレベーターの前に行くと
カルロスさんが走って来て
【良いの?このままで?】
と、言うから
【彼をあんなに追い込んだのは
私だと思います。
私は、彼の側にいない方が
良いみたいです。】
【そんな事ない。
伊織は、本当に終わったと
日本から帰ってきて言った。
その次の日から
ああ、なんだ。】
【すみません。
仕事にも影響でていますね。】
【仕事は心配ないよ。
伊織が今まで頑張ってくれていたから。】
彼のカルロスさんの
言葉にホッとしながら
【ありがとうございます。】
と、伝えると
【今からどうするの?】
と、心配顔のカルロスさんに
【予約しているホテルへ行き
明日帰国します。】
【えっ、明日?】
と、言っている間にエレベーターが
到着して私は乗り込み
カルロスさんに頭を下げた。
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