もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい

そんな風に思いながら
ホテルに戻り

フロントでKeyを受け取る···と

来客の方が······と、言われて
Caffeに向かう······と

頭を垂れて座る·····伊織?

私が、テーブルに近くと
伊織は、ハッと顔を上げて
立ち上がり
【すまなかった。】
と、日本語で言うから
【私こそ、急に来てごめんなさい。
さっきも言ったけど
入院中は、お世話になって
本当にありがとうございました。
あっ、心配しないで
明日には日本へ帰るから。
もう、い、相馬君の邪魔は
しないから。】
と、言って
【わざわざ、来てくれてごめん。
もう、部屋に戻るね。】
と、言い伊織がいるテーブルから
離れようとすると
【あんな事が言いたかったわけじゃない
情けない姿の俺を見られて
どうして良いか、わからなくなって。
だけど······
紬は、俺に入院のお礼を言うために
ここまで来たのか?】
と、言われて
【私のせいだよね。
私が、い、相馬君を傷つけたから。
ごめんなさい。】
と、頭を下げると
【話しがしたい。出ようか?】
と、言われたから
荷物をフロントに預かってもらい
伊織とホテルから出て
近くの公園に向かう

伊織は、公園のベンチに腰掛け
私も少し離れて腰掛けると
【すまん、臭いよな。】
と、自分の体をクンクンと嗅ぐ
伊織に笑いがでる。

クスクス笑う私を見て
苦笑いをする伊織。
【少し我慢してほしい。】
と、言いながら風向きを
考えて座る伊織に
変わらないなぁ、と思い
【大丈夫だよ。】
と、伝えた。

少し沈黙があり······

【俺、本当に紬と別れたくなかったんだ。
だから、どんな形でも紬と
繋がっていたかった。
あのとき、紬と連絡が急に取れなく
なって、バカみたいに焦って
行われる同窓会には
ほぼ全て出席してた。

会えない紬に
もう諦めよう
もうダメなんだと思い
恋人も作ってみた
だけど、やはり、だめだった。
紬と比べてしまって。

それからは、
仕事に全集中してきた。
そんな日々の中
夢かと思ったけど
紬と再会した。
結婚していると知って
かなりショックだったけど
紬が幸せなら
本当に、今度こそ本当に
紬を諦めようと思っていた。

だが、紬は幸せではなかった
なら、もう俺は諦めない。
必ず、紬を守る
そして、もう二度と離さない
と、思っていた。

だが、それは、俺の考えで
紬に俺に対しての気持ちが
何もないなら
俺は、必要とされないなら
全ては、俺の独りよがりなだけで·····
気持ちの行き場が無くて
のたうち回っていたんだ。】
と、悲しそうに
辛そうに話すと伊織に
【ごめんなさい。
本当に·····ずっと·····
私が苦しめていたんだね。】
と、言う私に
伊織は、首を振りながら
【俺が、勝手に·······
【違う。私もあの時
伊織と別れたくなかった。
だから、用事がなくても
連絡したり·····して
だけど、女性が電話に出て 
ああ、伊織は前を向いて
歩きはじめたんだ
私は、それを邪魔したら駄目だと
勝手に思いこんで
悲しかったくせに
倒れた時も駆けつけてくれて
本当は、嬉しかったのに······

だけど、私のために伊織の
時間を使うことが申し訳なくて。
あんな言い方しかできなくて
ごめんなさい。

本当にアメリカから日本へ戻って
頑張れたのは
伊織がいてくれたからなんだ。
だけど、臆病な私は
自分の気持ちも気付けなくて
結月が気づかせてくれたの
伊織、私はあなたが好きです。
もう、遅いかもしれないけど
それを伝えたくて
アメリカに来たの。】
と、話してる途中で
伊織に抱きしめられ
【ごめん、臭いかもしれないけど
我慢して、抱きしめられて】
と、言う伊織の背中に
腕を回した。
【俺も好きだ。
ずっと、ずっと、紬が好きだ。
もう離れない。
もう離さない。】
と、言ってくれた伊織に
【う〜んと、今は、離れて。】
と、言うと
【お前な。】
と、笑ってくれた。

それから私達は、
一度ホテルに戻り
私は、荷物だけを持たされて
伊織の暮らすアパートメントへ
連れて行かれた。
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