もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい

それからの伊織の行動は
目をみはるもので

日本の両親に結婚の話をして
紹介に帰る事を伝えて
式は、日本でもアメリカでも
親しい人のみで行う。

二度も、と思うが
私もその方が助かる。
旭の時は、アメリカの知人を 
呼べなかったから。

2回もするのは、図々しい
バツイチだけど。
伊織が、
【みんなに見てもらいたいんだ。】
と、言う。

それから、
健太さんに私の店の
賃借?譲渡?の
相談や書類の作成を依頼したり

私の永住権の申請をする為に
入籍の手続きをする。
日本とアメリカを同時に。

そのスピードについていけずに
そばで見ているだけの私。

結月とはTV電話で話しをした。

結月が仮の店長をしてくれる
事になった。
譲渡は、駄目だと。
私の父と私の店だから
と、言ってくれた。

結月が妊娠したり
子育てて無理となったら
適任者がいれば、その方に
居なければ、店は閉じる事で、
決まった。

弁護士の仕事が忙しい
健太さんの身の回りの事も
やらないといけない結月に
無理はしてほしくなかったが
健太さんから
【しばらく
これで様子を見て
また、四人で考えよう。】
と、言って貰えた。

本当に、この二人には
いつも、いつも助けられて
感謝しかない。

伊織は、カルロスさんに無理を言って
日本へ帰国した。
もちろん私も一緒に。

その日は、結月と健太さん
私と伊織で食事をした。

結月と泣きながら
二人で抱きあった。
私の幸せを自分のことのように
喜んでくれる結月と
離れ離れになることは
身を切られるくらい辛い
だけど、伊織と一緒にいたい
その事も結月とは話した。

翌日は、伊織のご両親に
紹介された。
伊織のお父さんは、
大学の教授をされている。
お母さんは、会社勤めをしていたが
【伊織を妊娠して辞めたの。】
と、話してくれたから
【お店を経営してるなんて素敵。】
と、言われて恥ずかしくなった。

伊織から私達の経緯を
聞いていたご両親は、
【一時、荒れている事が
あった理由がわかったよ。
あの時に、なぜか伊織は
ずっと独身だろう。
と、思っていたんだ。
荒れている理由も知らなかったのに
不思議だよね。】
と、話してくれたお父さんに
私も伊織も驚いた。
【でも、こんな綺麗な方に
一度振られたら、ああなるな。】
と、言うお父さん。
【綺麗で優しくて、料理も上手で
経営にも長けているんだ。】
と、言う伊織に
【そんな良い物では決して
ありません。
それに、もしかしたら、
お孫さんを
お見せできないかもしれません。】
と、言う私に
【そんな事気にしない。
俺は、紬といたいから
一緒になるんだ。
子供は、自然で良いし
出来なくても紬がいてくれたら良い。】
と、伊織と言いながら
【自慢じゃないけど。
親父もお袋も
そんなことを言う人達ではない。
自分が言われて傷つく事は、
人にも言わない。
そんな風に俺は育てられたから。
実は、紬は、前の姑さんに
子供ができなくて
壊れたおもちゃだと言われて
酷く傷つけられたんだ。
だから、とても気にしてる。】
と、私に話してから
ご両親に話してくれた。

その話を聞いて
お母さんは、涙を流しながら
【そんな、酷い事を······
私達夫婦は、綺麗事に聞こえるかも
しれないけど、伊織が結婚して
くれる事が何よりも嬉しい事なの。
この先、あなた達が二人でも
あなた達が幸せで元気で
過ごしてくれたら
私も主人も幸せなの。】
と、言われて
私も涙が流れた。

旭のお母さんも
きっと寂しかったのだろうと思うが
やはり、辛くて苦しかった

だから、私は伊織のお母さんの
言葉が、気持ちが何よりも嬉しかった。

伊織は、私の涙を拭きながら
【紬のご両親には勝てないかも
しれないけど
なんでも頼ったら良いよ。】
と、言うから
お父さんとお母さんをみると
お母さんは、涙を拭きながら
頷いてくれた。
お父さんは、
【紬さんのご両親のお墓は
私達が守るから心配はないよ。】
と、言って頂いて
【ありがとうございます。】
と、何度も伝えた。

その日は、伊織のお家に泊まり
四人で沢山話をした。
お母さんと料理も作って。

翌日は、健太さんの知り合いの
教会とレストランがある
式場?に行き予約をして
ウェディングドレスを選ぶ。

白のマーメイドタイプにした
背中がかなり開いているから
伊織は、眉間にシワを寄せたが
スタッフの人達から
隠すと綺麗な奥様がもったいない
と、言われて、渋々。
伊織は、グレーの燕尾服にした。

伊織のご両親には、慌ただしくて
申し訳なかったが伊織に
【早く一緒になって
   紬さんを相馬にしない。】
と、言っていたと

優しいご両親だ。

伊織は、一度アメリカに戻る
離れる事をずっとブチブチ言うから
結月に叱られて
【だって、やっとだぞ。
やっと、俺の紬になったんだぞ。
一日も離れたくない。】
と、言う伊織に
【あんた、これからずっと
一緒じゃない。
私は、そうそう会えなくなるのだから
我慢しなさいよ。】
と、言い合いをする二人を見て
笑っていると
【【なに、笑ってる?】】
と、はもって言われて
皆で笑った。
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