もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい

❖❖日本へ


琴葉が日本の大学に行きたいと
言い出した。
両親を心配しての事だとわかり
両親の家から通うなら
と、許可をした。

年をとった両親を心配していない
わけではないが。
琴葉の気持ちを嬉しく思った。

大学を卒業すると
日本に残り
紬の店を引き継ぎたいと
言い出して
俺は、反対するような言葉を
口にして、琴葉と喧嘩になることも。

紬は、高橋と相談して
琴葉に店を任せる事にしたみたいだ。
高橋の子・結菜は健太さんと同じ
弁護士の道へ進むらしい。

紬は、見守ってあげよう
と、言うが
心配じゃないのか?
自分な子なのに。
母親って、そんなものなのか?
と、苛立ちとショックと
心に隙間ができたような感覚になり

仕事に没頭したり
琴葉の様子を見に日本へ隠れて
行ったりして
俺の行動に何も言わない紬に対して
俺は都合よく捉えて好きな用にした。

カルロスからは呆れられていたが·····

自分の中で何が起っているのか
自分でもわからないずにいたが

今日は、自宅に戻った。

だが、そこに居るはずの紬の
姿はなかった。
家の中は、真っ暗で······
えっ?紬······

あちこちを見て回る
寝室····クローゼット····
風呂·····トイレ····
子供達の部屋·····
庭····地下······
·····いない·········
ドサリとソファーに腰を下ろし
頭を抱える

リビングにもダイニングにも
何も置かれていない

冷蔵庫の中には
ラップされた料理が一つ

帰るか、帰らないか
わからない俺の食事を作っていたのか
はっ、俺は何をやっているんだ。
子供の事で動揺して
紬を無視して
俺自身が、子供か·····

紬の作ってくれた料理を
温めて食べてから
亜希翔に連絡をすると
【珍しいね。俺に電話なんて?】
と、言われて
俺は、どうしょうもない
あんなに紬を子供達を
大事に大切に生きて行くと
決めていたのに
【おい、親父?】
【ああ、すまん。
亜希翔、かわりないか?】
【ない。忙しいけど
やればやるほど、だから
やりがいがあるかな?
で、何か用事があったんだろ?
親父が琴葉以外に気になることが
あるわけないか?
俺は、琴葉とは近頃
連絡取っていない。
あいつも忙しそうだったから】
【そうか。俺はそんな風に
思われていたんだ。】
【なに?今更。
琴葉は、女の子だから
心配なんだろ?母さんもそう言ってた。】
【母さん、紬が。】
【ああ。······
電話の向こうから亜希翔を呼ぶ声か聞こえて
【すまん、忙しいな。
亜希翔、母さんから何か訊いてないか?】
【えっ、何?ごめん、きこえなかった。】
【あ、いや、いい。
体に気をつけて無理するな。】
【ああ。じゃな。】
と、亜希翔の電話を切った。

琴葉以外に気になることはない、か····
そんな事はない。
亜希翔の事も
もちろん紬の事も
ちゃんと考えている
仕事の事も

·······本当に?········
考えて····いたか?······
亜希翔とも、久しぶりに話して······
紬と······外食したのは?
ベッドには一緒に寝ていたが
キスも挨拶程度
いつ抱いた?
雑貨屋回りも、最後にしたのは?

何も、何も、大事にしてない

ずっと、紬は俺を支えてくれて
子育てもきちんとやってくれて

それが、全て当たり前に
なっていて
感謝の気持ちも
いつの間にか
口にもしていない

えっ、俺、最悪じゃん
俺は、見切られたんじゃ?

紬と俺の大切な物を仕舞う棚をみた
紬のパスポートがない。
直ぐに日本の実家に連絡をする。

母親が出て
「琴葉の心配は止めなさい。」
と、開口一番に言われて
どんだけ、何だと思った。

俺は、紬がそっちに行ってないか
と、訊ねると
母親は、紬がいないのを
心配して、俺を責め立てた。

なんと言われようが
その通りだと思った。
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