もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい

❖❖話をきいて


【あのね、伊織。
あなたが、琴葉を心配する気持ち
わからなくはないの。
私だって、亜希翔の事も
琴葉の事もいつも元気でいて欲しいと
思っている。
もちろん、日本にいる相馬の両親も
結月の家族の事も。

そりゃ、手元においておけば
近くにいれば
心配ないかもしれない
でも、そうじゃないと思うの。

それぞれ自分の考えを持ち
生活してるのだから。
尊重して信じてあげないと。
って、私は思っている。
私は、私の両親の様に見守って行きたいの。

ただ、それは私の考えだから
伊織は、伊織が納得出来るように
したら良いよ。

日本に行き琴葉の近くで
暮らして琴葉を見守っても良いと
思う。

昔、私が入院した時
パソコンがあれば、
どこでも仕事は出来ると
言っていたよね、だから。】
と、言う私に
伊織は、首を横にふりながら
下を向いていたから
【まだまだ、足りないかも
しれないけど。
私は、私なりに家族の為に
やってきたつもり。
子供達も大きく成長してくれて
母親の役目は終わったかなと。

そして、あなた、伊織が
もう私を必要としていないのも
よくわかったから
私も好きな事をやっても良いかな
と思ってるの。
私ね、ドイツで暮らして
ドイツで雑貨屋を開きたいの。

あっ、もう準備はできたから。
心配ないよ。
一度、伊織と話してからと
思ってね。
伊織が、離婚を考えているなら
届けを書いて送って。】
と、言うと
紬は、自分の部屋へ行き
準備を始めた。

伊織は、その場から
動けずにいた。

離婚なんて考えてない
紬が必要ないなんて
  そんな事断じでない
だけど、そう思わせる程
  紬を追い込んだと思った。

もう、紬には、俺は必要ないのか?

そう言えば·····
琴葉の大学進学が決まってから
呆れられることが多かった。

就職を悩んでる時は
紬の話を聞く耳を持たなかった。

紬が子供達の事を
心配しないわけないのに。
なぜ、俺は勝手に
そんな事を思ったのだろうか?

自分が情けなくて
どうして良いのか
わからなかった。
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