灼けるような恋の先。
怒ると別人みたいになる樹に謝ると、まだ怒りは収まらないようで私が常につけているとの形見の時計を腕から取り上げた。
「お前の持ち物はこの時計と首から下げてる指輪!!!
んで、何も怖いものないお前が怖がる包丁と血液!!精神安定剤飲んでるしな!!
どう考えてもおかしいと思って調べたことがあんだよ」
時計をギリギリと握りしめながら私を蹴る樹。
「お前隣の県で5年前高校生が同級殺害した事件の関係者。
被害者の卯月灯の彼女だったんだろ?
加害者は睦月楓。お前のことが好きなメンヘラ女。そいつも自殺」
樹程の情報網があれば調べてたどり着くのなんて簡単なことだろうとは思ってたど本当に知ってたんだ。
あれだけマンションの玄関で騒ぎになればそりゃ目撃者等も多かっただろうし。
「どうせこの時計と指輪は思い出の品なんだろ?」
「…うん」
「次何かやらかしたりしたらこの時計まず壊すからな」
「わかった」
壊されては困る。
私の大事な灯の形見なんだもん。
時計と指輪だけは私から奪わないで欲しい。
この2つが唯一私と灯を繋ぐものだもん。
だからふたつを守るためならちゃんと言うことを聞くしかないな。