灼けるような恋の先。




私の返事に満足した様子の樹は私を膝の上に乗せてソファーに座る。



感情の振り幅スゴすぎるんだよな毎回。






「蹴ってごめんな?本当は乱暴したくねぇんだよ?お前を顔だけだなんて思ってねぇよ?俺はめっちゃ菫のこと好きなんだからな」



「うん、わかってるよ」






5年も付き合えばそれなりに喧嘩をして、骨が折れるほど殴られたこともある。


でもその度に泣いて謝ってくる樹は思うように行かないとキレる子供みたいなやつなんだって知ってるし

好きじゃないと店にとっくに売ってるし刺青も入れさせたりなんてしないんだろう。




この人は簡単に死んだりしない、強いし離れない、そんな安心感がある。






「菫は掴んだら離したくないっつーか、どうしても手に入れたい感があんだよな。
顔もいいしスタイルもいい。ガードが硬すぎるわけじゃねぇのに心の中が全くわかんねー。
だからお前のことが好きで狂った女の気持ちわかるけどな。
もし俺がその時出会ってたら俺も彼氏殺して手に入れてたかもしれねーわ」






膝の上の私を抱きしめながらそう言う樹を私は思わず睨みつけてしまった。






「事件のことは何も言わないで。
私全部捨ててきてるから」



「捨てて、ねぇ。
2つ持って来てるから捨ててねーじゃん。
それに俺の事その男ほど好きじゃないだろ」



「それは付き合う時に了承してただろ。
私は二度と誰かにのめり込むほど好きにはならないって」






そう、一目惚れしたから付き合おうと声をかけられた時にそれでもいいならと付き合ったんだからそんなことを言われても。



これから先灯以上なんて現れるわけないし、そんな恋愛してまた何かあるのも嫌だから。




樹はははっと笑って私の頭を撫でた。






「怒るなよー、悪かったってちょっと嫉妬しただけー」



「事件のことは口出さないで」



「わかったわかった。」






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