灼けるような恋の先。




強く念を押して伝えたら頷いて笑う樹に私もこれ以上は言わなかった。



未だにあの事件のことになると頭が割れそうになるくらいだし触れられたくないからな。




そんな私の頭を撫でて頬に手を添えてキスしてくる。






「ぶっちゃけ菫は今俺に何求めてんの?てか俺のこと好き?」






キスをして服の中に手を入れながらそう聞いてくる樹は私は一瞬考える。


樹に何を求めている、か。






「強さ。かな。
樹は強いし簡単に死なないから失うかもしれない恐怖が少ないから、安心できる。」



「ほう」



「燃えるほどじゃないけど好きだな。
殴られても暴言言われてもまぁ嫌いにならないし」



「まじか、よっしゃー」






嬉しそうに声を上げる樹に笑ってキスするとさらに深く返してくる。



うん、私は今腐った世界だけどそれなりに幸せなのかもな。







「じゃーさ、結婚しねー?
俺ももう25だしそろそろ世帯持ってもいいしさー、菫なんかふと消えそうじゃん」






突然の樹の言葉に私は時が止まる。



結婚、だなんて意外だ。



失礼だけど樹は結婚とかしないタイプだと思ってたわ。






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