灼けるような恋の先。
「どう?どうせ家族とも連絡とってない絶縁状態だろ?
じゃあ俺と結婚していーじゃん、俺は菫他のやつに渡したくないし菫はもう誰かがいなくなるのは嫌なんだろ?」
樹の言葉には納得した。
私は全部捨ててきた。
だからこそ何かを得るのがいいのか、灯との叶わなかった未来を別の人としていいのか?
そんな疑問ばかりが浮かんでくる。
「気にすることなくね?俺はお前の過去のことも知らなかったしこれからも聞くことはねーし、俺の過去もほとんど知らねーし、菫は俺なら安心できんだろ?じゃあいいじゃん」
そんな簡単な問題じゃないけど…。
と思いつつも、私の眩いくらいの高校生活を知らない人との方がいいのかもしれない。
「わかった、いいよ」
もともとどうなってもいいあとの人生だし。
たとえ結婚相手がまともな職業じゃなくても、まともな人間じゃなくてもそんなもんだろ。
私は人を1人殺したも同然なんだから。
私の返事によっしゃと嬉しそうに笑う樹に私も笑い返した。
焦がれるような灼けるような恋じゃなくても、この普段からは考えられない可愛らしい笑顔を見れるならそれも悪くないな。
「今度の休みにでも届け出しに行こうぜ〜」
「だな」
ウキウキと次の休みを確認する樹は微笑ましい。
その浮かれる姿はいつぞやの誰かさんに似てたりするかもな、なんて思いを馳せた。