灼けるような恋の先。
「指輪はいらない」
まさか断られるとは思ってなかったのか、驚いた顔をしたあと私の首にさがる灯から貰った指輪を触る。
「これがあるからいらないとでも?」
「別に。ただ指輪に意味は無いだろ。」
「意味、俺のもんだってアピール」
「そんなんタトゥーしてんだからいいだろ。
肌に傷つけて消えない証なんだぞ」
「チッ、過去の男は良くて俺はダメか、そうかそうか、いーよ」
イライラとしたようにタバコに火をつける樹だから私もそれは譲れない。
灯の指輪があるのに他の人の指輪なんていらないもん。
そんなん言えるわけないけど。
「じゃーさっさと出しに行こーぜ」
ふわふわとタバコの煙漂わせる樹とならんで歩いていると、ショッピングモールの外に占いと書かれたテントを張っている女の人がいた。
「貴方、そこのお嬢さん」
「ええ…私かよ」
いかにも胡散臭い多分占い師の人に話しかけられて思わず心の声が漏れてしまう。
「ずっと後ろで彼が心配そうに見守ってるわよ、決断を急がないでって、自分を大切にしてってすごく心配してるわ。
こんなに強い思いなんだから相当心配なんだと思うわよ」
嫌な顔をする私にも関わらずそう言って私の後ろに微笑む女の人は不気味だけど、私は思わず息を飲んだ。
自分を大切にするように灯は最期に伝えてくれたから。
灯が心配してるの?
「思い当たることがあるんじゃない?
彼、あなたの事とても愛してたのね」
やめて、やめてよ。
これ以上私に灯を思い出させないでよ。
「はぁ…はぁ…」
まずい、こんなところで発作がきた。