灼けるような恋の先。
私は灯が亡くなってから、灯を思い出すと最期の抱きしめていた感覚、血の濡れる感覚、冷たく硬くなった灯。
全部を思い出すと苦しくて息が上手く出来なくなるようになっていた。
最近は少なくなったのに、この人が思い出させるから…。
「菫、発作か。薬は?」
「逃げてはダメですよ、貴方の愛していた彼は貴方が貴方を大切にすることを望んでいるんです。辛くても苦しくても向き合わなくてはいけません。」
「はぁ…はぁ…うっ…」
「菫しっかりしろ!」
「やめて!!灯に手を出さないで!!!」
「菫!」
今目の前にいるのは誰?
今私は何をしてるの?
灯はどこにいるの??
冷たくて硬くなった灯は嘘だ、偽物だ。そんなわけない。
だってずっと一緒って言ったじゃん。
子供の話だってしたじゃん。
あの前の日だって肌を重ねて、一緒に寝て起きた。あの温かさ今すぐにでも思い出せるのに。
どうして、どうして私は1人なの?
もう何がどうなっているのか、どうやって呼吸をしているのかわからなくなった私は
私を呼ぶ声を最後に意識を手放した。
向き合う。向き合う?
向き合うなんて出来るわけないだろ。