灼けるような恋の先。
「樹さん!なんか変な男が!!」
「はぁ?俺今から出て来るからお前らで対処しろよ」
「それが無理なんですって!!菫出せ!しか言わねーんです!」
え、私?
クラブの従業員が樹に助けを求める目を向けるも樹は舌打ちをする。
「くそ、また菫かよ」
「また?」
「菫の噂聞き付けて自分のものにしようって俺のとこ来るやつ結構いんだよ。返り討ちにしてっけど」
「えー、知らなかったわ」
「だから俺のだってタトゥー入れさせたのもあんだよ」
なるほど。
確かにタトゥー入れさせられたのはここに来て1年くらいの時で、私が嫌がっても半無理矢理させられた記憶があるわ。
「樹何とかしてください!なんかめっちゃイケメンで身長高い男なんす!」
「ほう、どれほどかくらい確認しとくか」
イケメンという響きに反応した樹は面白そうな顔をして従業員に私を引渡す。
「菫頼むぞ」
「は、はい!」
ギラギラと面白いことを見つけたように目を輝かせて出ていく樹にまた怪我すんのかな〜なんて呑気なことを考えていた。
「菫さん大丈夫すか?」
「うん?大丈夫だけど」
「顔色良くないんで無理しないでくださいね」
樹から私を任されたハルくんは心配そうにそう言ってくれたが私は笑って誤魔化した。
倒れたあとだし体調良くはないけどね。