灼けるような恋の先。




樹の暴走はハルくんたち従業員が駆けつけて抑えてくれて1時間後ようやく収まった。






「樹さんの怪我は俺らが見るんで菫さんも手当してもらってください!」



「あぁ、大丈夫」






そう言ってハルくんは落ち着いた樹を休憩室に連れていく。



私はぐったりと倒れ込んだボロボロの晄の元に行くと、至る所から血を流していて震えが止まらなくなる。






「晄、大丈夫か」



「ん、いって…ぇ…なんだアイツ…」



「ちょっとキレたら手がつけられないんだ」



「あれ、人殺したことあるやつの勢いだろ」






何とか話せる様子の晄の血を拭う。


でもガタガタと震えて止まらなくて上手く拭えない私の手を上からそっと包み込む晄。






「菫、俺は菫が幸せならいいんだ。
でも俺、灯が居ない時はお前のこと任せたって言われっから。だから心配なんだよ」






苦しそうにそう言葉を紡ぐ晄に私はなんと言葉をいえばいいか全く分からない。





「菫、1度でいいから灯の墓参り行こうぜ。
一緒に遺品整理してくれよ。灯の家族も俺らでして欲しいってそっちが灯も喜ぶからって言ってくれてるから」



「無理だ。遺品整理なんてできない。墓参りも行けない」



「いつまでも避けて通れないだろ。
結婚するなら尚更、ちゃんと過去は精算しないとだろ?
俺ずっとあの家で待ってるから」






晄は一方的にそういうと、痛そうに顔を歪ませながら立ち上がり歩き出す。



その背中はどこか悲しそうで

あいつの背中はもっと楽しそうで自信に溢れてたのにな、と思った。



避けて通れない。


占い師にも同じようなこと言われたな。




そんなに逃げること避けることは悪いことなのかよ。






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