灼けるような恋の先。
何度イッたか数え切れぬ頃、ようやく樹は満足したように水を飲んだ。
「菫もあんなん訳わかんなくなるんだな」
「もー自分じゃよく覚えてないわ」
「可愛かったぞー?」
ちゅっと音を立ててキスをして、自分の口に含んでいた水を口移しで私の中に流し込む樹。
「ぬるい」
「そりゃそーだろ」
1度人の体温に触れた水の味に顔を顰めながらもカラカラの喉に水が染み渡る感覚に喉は潤った。
喉が潤ったところで、私はずっと考えていたことを口に出した。
「さっき、晄を殴るの辞めないと結婚しないって言ったよね?
それの事だけど、やめなかったから保留にしてもいい?」
いくら何でも死ぬほど殴るのを辞めさせた方がいいからそう聞くと
樹は目の色を変える。
「いいわけねぇだろ。
それ以上くだらねぇこと言うと力づくできかせるぞ」
「そういうの辞めないとしないぞ?」
「訂正するなら今だぞ」
このままだといつか本当に人を殺してしまいそうで危機感を覚えたから。
樹を犯罪者にしたくないから。
そんな思いで私は首を横に振る。
だけどその思いは樹には届かず胸ぐらを掴んで放り投げられてしまった。
「っ」
放り投げられた私は背中から本棚へとぶつかる。
続けざまに私のお腹を蹴って髪を掴んで持ち上げた。
「やめろ、髪痛いっ」
「やめて欲しいならさっきの言葉取り消せ!」
「それはしない」
キッパリと断ると同時に樹の拳がお腹と頭にふりかかる。