灼けるような恋の先。
「それからは祭りの時に知らない奴らにレイプされたりしたけど、灯がいれば何も怖くないし辛くなくて楓ちゃんに何回も告白されたけど灯しか無理だって断ってた」
灯がいたらそれでよかった日々。
もう二度と帰ってきてくれない灯。
「クリスマスの日、プレゼントで私がこの時計をやって、灯はこの指輪をくれたんだ。
いつか本物をあげるねって。
でもその次の日、楓ちゃんがやって来て…。私を庇って灯は…」
帰らない人になった。
それを言葉に出すことはまだ難しくて、苦しくて苦しくてたまらない。
もう一度戻して欲しい。
灯を返して欲しい。
「そこから精神科通ったりしたけど、3人の思い出の詰まった家にいるのも、学校にいるのも辛くて退学して家を出た。誰にも言わず。
それからは樹の知ってる通りここに来て樹と付き合ったんだよ」
思えば付き合っていたのは青春のたった1年程度だったかもしれない。
だとしてももう私はこれ以上ないくらい、私の色んな面を見せれるくらい好きだったんだ。忘れられないんだ。
思い出すと辛くて苦しくて死んでしまいそう。
「本当は、出会った時一目惚れだって言った樹を最初は利用してた。
財力もありそうだし一目惚れなんて言うなんてバカそうで宿代もかからなくてお金も貰えるならいいかって。
でも本当に好きなんだろうって不器用ながら愛情を貰って私も少しずつこの5年かけて好きになれたんだ。」
熱烈な恋じゃないかもしれない。
それでも好きの気持ちはあるから、程度は違えど私だって大切だから。