灼けるような恋の先。
きっと私は晄に追い打ちをかける行動をしてしまったんだと思う。
それでも私は、家出することでしか自分の心を保つことが出来なかったんだもん。
「俺は菫のこと責めるつもりもねーよ。
辛くて逃げ出したくなるのはわかるし、何より灯と付き合って2人が本当に想いあってるのそばで見てたからな。逃げたくもなるだろ」
「ごめん」
「謝んなって!
でもさ、もう5年だぞ?
灯も菫に会いたいんじゃねーの?会ってやれよいい加減。
結婚するってんなら尚更灯に報告しなきゃだろ」
もう5年。されどまだ5年。
晄の言葉はもっともだ。
私はそのためにここに来たんだから。
ちゃんとケジメつけなくては。
「ほら立った立った!」
昔は子供っぽくて頼り甲斐があるなんてそう思ったこと無かった晄は優しく笑って私の腕を引っ張って歩く姿は頼り甲斐のある男になっていた。
まるで別人みたいだ。
「灯〜菫やっと来てくれたぞ〜!」
私の手を引いてお墓の前で話しかける晄。
私は俯いたまま顔をあげられなくて言葉も出ない。
「お前も罪作りだよなー、クールな菫がお前がいないだけでこんなんなるんだぜ?置いてくなよ〜。」
話かけながら慣れた手つきでほうきで枯葉などを掃いて、水を新しいのに変える晄。
晄は一体どれだけここに通ったんだろう?
どれだけ現実と向き合い続けたんだろう?
晄はしっかりと今を生きてるのに私はまだ過去に縋ってていいのかな?
ダメだ、しっかりしないと。
晄に少し元気を与えてもらった私は力を込めて顔を上げた。