灼けるような恋の先。




【晄side】




さっきまで蹲っていた菫は顔を上げて灯の眠る墓を見つめると、ガタガタと震える手でほうきで掃除をし始めた。






「灯の部屋いつも綺麗だったからここも…綺麗にしないとな…」






か細い声でそう言いながら俺と同じように水を汲む菫は、手だけでなく足までもガタガタと震えていて心配だ。



俺も最初墓に来た時は吐きそうになったし、受け入れられなかった。



だけどいつまでも止まったままだと灯は世話焼きだから安心できないだろうからな。






「灯じゃなくて、私が死ねばよかったのに…。
ごめんなさい、付き合ったばかりに楓ちゃんに狙われて殺されて。
私が殺したも同然だ。私が死ねばよかった…。」






菫は膝を着いて項垂れながら何度も私が死ねば…と言い続ける。


その姿があまりにも辛くて、でも俺も同じことを思っていた時期があるからこそ簡単にそんな事言うなよ!なんて言えない。






「もう、疲れた。
私も灯のとこに連れてって。」






震えた声で切実に言う菫。



菫はちっとも前になんて進めてなくて、逃げてばかりいたから本来亡くなってすぐすべきだったことを5年ごしにやってんだろう。




辛くて苦しい自分との戦い。



死人は決して喋っても慰めても現れてもくれないから。



でも菫は1人じゃない。



菫のつらさは俺が1番理解できるんだ。






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