灼けるような恋の先。
「菫、俺はお前に生きてて欲しい。
無責任かもしれねぇけど、菫は幸せにならなきゃいけねーんだ」
灯から託されたから。
灯の不在時は俺に任せると。
だったら俺が……あの時伝えることすら出来なかった俺の気持ちを伝えてみてもいいんじゃないか?
そう思った俺は膝を着いて項垂れて静かにぽろぽろと涙を流す菫の正面に膝を着いて、菫の手を握った。
「俺、菫のこと好きなんだ。
菫と灯が付き合ってから気づいたけど、2人が付き合う前から好きだったんだ。
だから今度は俺が幸せにするから戻ってきてくれよ」
灯にならと1度諦めた恋心。
他の誰かと付き合っても違って引き摺り続けた恋心。
俺の5年越しの告白にぽろぽろと涙を流しながら驚いたように目を見張る菫が可愛らしい。
灯、こんなとこで告白してごめん。
でもお前の分まで幸せにするからさ、俺に譲ってくれよ。
「晄が私を好き?」
「おう」
「だめだ。私は樹と…」
「知らねーよ。樹なんてやつに渡したくねぇ。
菫の辛さを分け会えるのは俺しかいなくね?
俺だったら菫沢山笑わせることも出来る自信しかないけど」
樹なんて凶暴なやつ菫にはダメだ。
顔もスタイルもいいけどあの男はダメな気がする。
なんとなく俺の直感だけど。
でも俺は菫のことよく知ってるし、笑わせ方だってわかってる。
どれだけ灯を好きだったかも知ってるし。