灼けるような恋の先。




俺の言葉を聞いても菫は首を横に振るだけ。






「私は樹と結婚するんだ。
もうこれは決まったことだから、悪いな晄。
晄ならすぐ良い奴見つけられるよ」






ハッキリと断る菫だけど、告白すら出来なかった頃より全然いい。






「俺諦めねーけど!
たとえ結婚してなんだとしても俺を好きにさせればいいんだもんな!
これからは隠さなくていいし、菫もきっと俺を好きになるなー!」






自信、勝率はそんなに高くないだろう。


菫は義理堅いから樹って男を裏切ることもなかなか出来ないだろうから。




でも、5年越しにやっと俺の前に現れてくれたんだ。



やれるだけのことはやろう。




そんな俺の言葉に呆れたようにふっと笑ってくれる菫。






「好きにしろ。
ほんと、あんたの親友は馬鹿だな灯」






俺の告白で少し気が紛れたのか涙の止まった菫はやっぱりまだ苦しそうに灯に話しかけた。




菫が少しでも灯の死を受け入れて安らかになることが出来ればいいんだけどな…。



そしてそれが俺の役目だったらいいな。



そう思って俺は菫を振り向かせるべく気合を入れたのだった。






< 129 / 199 >

この作品をシェア

pagetop