灼けるような恋の先。




どれくらい意識を手放していたのか分からないが、目が覚めるともうカーテンが閉まっていた。






「ん…灯…」



「お、起きたか!発作だろー?
向き合うのはゆっくりでいいさ!今日は墓参りしたし1歩前進じゃん」






ぼんやりとした頭で晄の言葉を聴きながら、灯も同じこと言ってくれそうだな、なんて思う。






「泊まってく?」






晄の言葉に私はハッとしてスマホを見るとそりゃもうすごい数の電話にメッセージが入っていた。もちろん樹から。



ちゃんと今日ここに来ることは伝えてたけど晄と一緒だから気になってるってとこかな。






「だめだ、電話とかすごい来てるから帰るわ」



「なんか意外だなー、灯程好きじゃないやつに執着されても適当にあしらうかと思ってた」



「最初はそうだったけど、今はそれなりに相手するよ。キレると手がつけらんないし」






むしろキレられた方が面倒だし。


そういう私に晄は納得いかない顔をする。






「やっぱそいつおかしいと思うけどなー。
菫アザだらけだし菫のこと大事に思ってねーだろ」



「不器用なだけさ」



「俺だったらそんな痛そうな体にもしねぇし、程よい距離で毎日沢山愛情注ぐけど?」






なんでそんなに自信満々に言えるんだ。そういう所は変わってないんだな。


そんなことを思いながら私は鞄を持って玄関へと向かう。






「じゃあな」



「送る!」



「いい。見つかると面倒だし。」



「危ないからおくる!」






断っても聞かない晄はちょこちょこと私の横に勝手に並んで歩き始めた。



まぁ、いいか。






< 131 / 199 >

この作品をシェア

pagetop