灼けるような恋の先。
私は早速行動を改めて手を出さずに落ち着いてくれたのかなと思いながら樹の顔を見上げると
そこにはまさに鬼の形相の樹が私を見下ろしていた。
「俺さぁ浮気する女マジ無理なんだよなー。
裏切りじゃん完全に」
違う。
でも晄を守ろうとついた嘘を今更違うなんて言える訳もなく私が何も言わずにいると、樹は私の顔を思いっきり殴ってきた。
突然のことに受け身すら取れず壁にぶつかる私に更にお腹を蹴りあげる樹。
私は痛みに顔を顰めながら耐える。
「灯の次は晄ってか!?
俺がいるくせにふざけんなよマジで!!!」
「…ごめん」
「ごめんで許されると思ってんのか!!!」
怒りの叫びと拳が私に降り掛かってきて身体中に痛みが走る。
今までだって何度もこんなことあったけど、今までとは比にならないくらい行き着く間もなく殴られ蹴られが続いた。
私は自分の身を守るようにうずくまって痛みに耐えるしかない。
「浮気するなら殺してやる!!二度とここから出れねぇようにしてやる!!!」
「っ…」
痛い。
頭も体も関係なく足と手が降り注いできて辛い。
助けて。
「殺してやる!!俺のものにならないなら!!!殺して俺のものにしてやる!!!」
どこかで聞いたことあるような、似たようなセリフを聞いたことあるような。
そんなことを考えて、灯を刺された後の感覚を急に思い出して苦しくなった。
こんな時に。
本当に殺されるのかもしれないな、それでもまぁいいか。灯と同じところに行けるならそれでいいや。
痛みに耐えながらそう思いながら苦しくなる息にも顔を顰めたのだった。