灼けるような恋の先。
耳元で発せられた心からの言葉に、私はなんだか泣きそうになってしまった。
まだ、私のことをこんなに心配してくれるんだな晄は。
「俺は灯からお前を託されてる!それに俺は菫が好きだ。だから頼むから俺のとこに来て欲しい」
「……でも私こんな体だし無理だろ」
「そんなんどうでもいい!俺は菫が菫であればどんなになろうと好きだ」
晄の正面からの言葉に少しだけ、心が動いた自分がいるのがわかる。
でも…
「それはできない。私はもう樹の傍から離れられないんだ」
「それは菫の意思?それともあいつが怖いとかあいつに支配されてるから?」
「……私の意思だよ」
実の所自分の意思なのか使命感なのか恐怖なのかもう分からない。
分からないけどもうここから逃げることなんて出来ないんだって思ってるんだ。
そんな私と晄の会話を黙って聞いていたハルくんが突然口を開いた。
「オレも菫さんはここから逃げて樹さんから離れるべきだと思います」
「ハルくん」
「菫さん目を覚ましてください。
暴力暴言、無理やり色んなことをされて…そんなの普通じゃないです」
ハルくんの言葉に胸が痛くなる。
普通じゃない、だけど樹が求めてくれる、優しいとこも知ってるから余計にわからなくなるんだもん。
「考えとくよ。
ハルくんももう不用意に口出ししない方がいい。また酷い目にあうかもしれないし」
きっと次はもっと痛めつけられる。
「じゃあ私は樹のとこに様子見してくるよ」
ご機嫌に去ったものの内心そう穏やかではないだろう樹のフォローをしに
私は晄もハルくんも置いてその場を出たのだった。