灼けるような恋の先。
「くそイライラするわー」
「どうした?」
「いやー、うぜー奴がいて吊るしてきたわ」
「吊るすって…」
「名の通り縛り上げて吊るしてんだよ、いい眺めだぜ?見に行くか?」
イライラしながらそんなことを言う樹にハルくんと顔を見合わせて恐る恐るついて行く。
そして連れていかれた部屋には文字通り吊るされた晄が居たのだ。
これまたボロボロで、縄で縛られて天井から吊るした紐で宙吊りになっている。
「晄っ」
「おいおい、この俺置いてくそ邪魔鼠の心配か?」
「いや…」
樹に睨まれて私は晄に駆け寄ろうとしたのを止める。
ハルくんも目を点にしていて、如何に樹を怒らせずに対処するか一生懸命考えるけどそんなものわかんないよ。
分かったら苦労しないよ。
「何回ボコっても来るし邪魔くせぇからもう消そうと思ってなこいつ」
「消すって…」
「だって邪魔だろ??俺らには子供も生まれんのにこんな子鼠にうろうろされたらたまんねーよ」
「は?子供…!?」
晄は樹の言葉に驚いたように声を上げた。
それが樹のカンに触ったのか近くにあった棒を手に取り身動きの取れない晄をそれで殴る。
「うっ」
「うっせぇ!俺と菫の子だよ!!て事でお前は退場願いまーす人生から」
「ふざけんなよ」
「ふざけてねーよ!!」
大声の後に持っている棒で何度も何度も動けない晄を殴りつける樹。
苦しそうな声を漏らす晄が痛々しくてみてられない。